
時空ロード新書第1弾
「お気に入りのドレスで」
価格 : 600円(税込)
サイズ : 130×210
ページ数 : 144ページ
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四六判「男の牡学」
Dangerous Story
僕が女性をオンナと呼ぶようになって久しい。その根源を明らかにしなければならない。
小学四年、9歳。
素晴らしい光景を目にしたことからはじまる。
当時、僕の家は三軒長屋の大家をしていた。一番手前のご亭主は、肉の卸売を生業とするマーロンブランド風の渋くていい男。奥さんはその夫によく尽くす人だった。
ひとつおいて一番向こうの端は気っ風のいい旦那で、オトコの匂いがプンプンする鳶職だった。奥さんは腕に刺青があるらしくいつもガムテープでそれを隠していた。ある日、テープを貼り替えているところを見てしまった。腕には"〇〇命"と書かれてあった。それはご亭主の名ではなかった。
……オンナが生きていくための手管を見た。
真ん中の部屋は大学生が住んでいた。親は開業医。つまり道楽息子で金使いの荒い遊び人の坊ちゃんなのだ。その坊ちゃんの部屋によくクラブのオンナが遊びに来ていた。
ある日、坊ちゃんはそのオンナを部屋から引きずり出し往復ビンタを喰らわしていた。オンナも怯まず毅然としてその坊ちゃんに立ち向かっていた。
……オンナという凄い生き物を見た。
オンナが着ていた真っ赤なワンピースは今でも目に焼き付いて離れない。
その光景のなんと美しかったことか。
子供心に、これこそ"究極の美"と心に深く刻み込んだ。

「寛解」血液内科化学療法198日
◉そして次は鴉さん初の医療取材、実録フィクション『血液内科化学療法198日』です。
今回の合本では『寛解』と改名していますが、取材原稿に至る経緯を訊かせてください。
◉ 以前大変お世話になった方から先輩氏を紹介されたことから始まります。我々は出逢ってすぐに意気投合し「先輩さん自身がメモを取られるならば、絶対に本を作りましょう」と誓います。
化学療法の実録をどうフィクション化するかが問題でした。そこでわたしの一存でフィクション化することをお許しいただきます。とはいっても先輩氏の了解なしには本は出来ません。ストーリーが進むにつれ、ゲラを見ていただきながら「あーでもない、こーでもない」と何度も繰り返した末、最終的に「夢に落とし込む」ことに決まりました。
所詮、人生は夢か幻です。閑吟集にあるように『何せうぞ くすんで一期は夢よ ただ狂え』ですから。

「描きかけの刻」
◉新書版『お気に入りのドレスで』に続いて『行きがけの駄賃』2019年1月と青春グラフィティの発行となります。あれ、待ってくださいよ。そうしますと『同匂』『同貉』の合本『裏切りの匂いを啜れ』は『行きがけの……』の前、2018年12 月となるわけですか。
◉ そうなんです。すいません合本好きで。また次の2019年9月には合本『描きかけの刻』の発行となります。これは『お気に入りの…』と『行きがけの…』の合本です。
◎ 僕はこの表紙大好きです。訊くところによると読者の方に好評だったらしいですね。「いいね」の連絡をかなり届いたとか。なんでも鴉さんがスマホで撮ったものだとか訊きましたが。
◉ ええ、そうです。夕方、部屋のシャッターを閉めてから、シャッターを押しました。